私を助けてくれた「pixiv小説」の沼にあなたを沈めようと試みる記事【番外】

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文芸・ライトノベル

私の救世主たるpixiv小説と出会ったのは3年前。

pixivの存在自体はそれより大分昔から知っていたのだが、私は

「pixiv=ピクシブ百科事典」

だと思っていた。

小説は勿論のこと、イラストの存在すら知らなかったのである。

じゃがいもの入っていない肉じゃが、のようなものである。

そんな状態から3年前、ようやく私はpixivの本体たるイラスト・小説を認知した。

どうして認知できたのか?

それは一言で言うと……

某有名音楽ゲームのお陰である。

当時、うつの症状(※私は「双極性障害」を患っています)が小康状態になり、少し活力を取り戻していた私はふと思った。

久々にゲーム、しようかなと。

そこでゲーム機を起動する。

しかし10分程度で止めてしまった。

疲れてしまったのである。

(小康状態になっただけでうつ症状自体は残っていたため、思うほど回復していなかったのだと思います。)

しかし他にやりたいこと、できそうなことがない。

そこでソーシャルゲームを漁ることにした。

(私は基本的にゲーム機でできるゲームをするタイプで、この時点でソーシャルゲームは殆どやったことがありませんでした。)

漁った結果、一つのゲームが目に留まった。

音楽ゲーム。

しかもただゲームをするだけではない。

有名なボーカロイドと20名のオリジナルキャラクターにより、超絶ウルトラスーパーハイパー重厚なストーリーが展開されるというのである。

音楽ゲームの経験などないが、私は躊躇なくそれをインストールした。

一通りプレイした。

泣いた。号泣である。

ゲーム部分は勿論面白い。レビュー通りである。

だが何だあのストーリーは。

喜び、怒り、悲しみ、楽しみ……

全ての感情が渦巻いて、もうどうにかなっちゃいそうだったよ。

もうあんなん普通にビジュアルノベルじゃん……!

私はそのままゲームに没頭した。

ゲームパートはセンスが終わっていたためあまりやらなかったが、

メインストーリー、イベントストーリーは殆ど視聴した。

すっかりキャラクターに感情移入していた。

そして遂に、私は始めてしまった。

「もし○○がヤンデレだったら……」などという妄想を。

そう、脳内二次創作である。

あくまで脳内で行っている訳なので、誰かに迷惑をかけることもない。

……というのをいいことに、私の妄想は加速していった。

そしてある日思った。思ってしまった。

「他の人の二次創作が見たい」と。

早速スマホを手に取る。

Google検索バーに「○○(ゲーム名) 二次創作」と高速で打ち込む。

検索結果が表示される。

遂に。遂に。

知った。

「pixivって創作サイトなんだ……」と。

これが私とpixiv小説の出会いの顛末である。

そこは宝箱だった。

無数の創作小説作家が、独自の解釈でキャラクターを動かしている。

1作読んでみる。

ゾクゾクした。素晴らしい作品だ。

もう1作読む。

泣いた。感動作である。

そしてもう1作、もう1作、もう1作……

こうして、私は沼に沈んでいった。

最高の快楽を伴って。

沼に沈んだことで、結果的に私のメンタルは浮上した。

それまでなかなか出来なかった自炊や掃除ができるようになった。

時々散歩に出かけられるようになった。

(健康な人からすると??となるかもしれませんが、うつ症状を持つ人間にとっては難しいことなんです。)

誇張抜きに、pixiv小説が私を助けてくれたのである。

3年が経ち、この記事を書いている今も、変わらず私を支えてくれている。

こんなクソ長い前置きがかけることが、何よりの証拠である。

前置きが信濃川並みに長くなってしまったが、本記事の目的は一つ。

あなたをpixiv小説の沼に沈めることである。

覚悟したまえ。

pixivオリジナル小説(一次創作)7作品

『絵本の中のヤンデレ男子は、私のことを逃がす気がない。』

『絵本の中のヤンデレ男子は、私のことを逃がす気がない。』
著者雪桜
投稿年月日2022年3月18日

「これで僕たち、ずっと一緒にいられるね」

簡単なあらすじ

小さな頃に読んだ絵本の世界を思い出しながら、アンナは目の前の扉を見つめていた。

扉を開けると、絵本で見たのと同じような光景。

そして絵本の中の主人公だった男の子を見つける。

しかし絵本とは一つだけ違うところがあった。

絵本の中の男の子は”青い髪”をしていたのに、アンナの目の前にいる男の子は、なぜか”黒い髪”をしていたのだ。

全体の感想

短編なのに書籍1冊分くらい感情が揺さぶられる作品。
 終盤は泣きそうになってぐっと我慢した。

絵本の世界にやってきたアンナ、アンナを迎え入れた男の子のそれぞれの真相を知ったら心が痛い痛い……。
 もう一度最初から読むと物語の雰囲気がガラッと変わる。

・どうしてアンナは男の子にあの名前をつけたんだろうか?
 無意識ながら「分かっていた」のかなと考えると余計に泣きそうになる。

『私の好きな人の、好きな人』

『私の好きな人の、好きな人』
著者ウメ子
投稿年月日2023年3月14日

我儘なんて言わない。
傍にいられるだけでいいの。
それだけで、いいから。

だからーーーーーー私を、捨てないで。

簡単なあらすじ

ソフィアは幼馴染であり政略結婚予定の相手であるリアムのことを愛していた。

しかし彼には好きな人が別にいる。

それを受け入れたうえで気丈に振る舞うソフィアだったが……

全体の感想

ページが進むごとにソフィアの本心が見えてきて心苦しい……。
 でも同時に「壊れなくてよかった」とホッとした。

・拗らせた男っていうのは全くもう!怒るより先にやるべきことがあるだろうリアム!

・愛が大きすぎるとすれ違っちゃうんだなぁ……と思わされる作品。
 その分結末の充足感も◎

『恋するヤベー人外さんと囲われた女の子の話』

『恋するヤベー人外さんと囲われた女の子の話』
著者己銀
投稿年月日2022年5月22日

「『計画』が上手くいったんですよ。『仕事』のね。」

簡単なあらすじ

【前編『恋するヤンデレ人外さん×人外に囲われつつある女の子の話』】
人外である『管理人さん』にデートに誘われた「私」。

異様なまでにグイグイ来る管理人さんを当初警戒していたが、その行動にもすっかり慣れてしまっていたため結局2人でお出かけすることに。

そして家に帰りついた時、人外の女性が管理人さんを待ち受けていて……

【後編(本編)】
あまりにも「完璧」である『管理人さん』に対し、「私」は劣等感から自殺を実行しかけるほど追い詰められていた。

病みのループ状態から抜け出すため、「私」はメモ書きで「自立したい」という気持ちを管理人さんに伝える。

しかしその気持ちを知った彼は何故か体が小さくなっていて……

全体の感想

「異常」にずっとさらされ続けると異常と感じ取れなくなることの恐ろしさがよく分かる作品。
 ホラー寄りのヤンデレ。

・前編で割と淡々としていた「私」が後編(本編)で急激に見せ始めた闇が怖いというか辛い。
 リアルな病み方で少しだけ共感してしまう。

『管理人さん』は「愛し方を知らない人が全力で愛を注ごうとするとこうなる」の見本である。逃げろ「私」。

『クズな恋人のことが好き過ぎる女が振られて、妊娠発覚して、その後にめちゃくちゃ執着されて捕まえられる話』

『クズな恋人のことが好き過ぎる女が振られて、妊娠発覚して、その後にめちゃくちゃ執着されて捕まえられる話』
著者らみあ
投稿年月日2022年12月21日

「わたしの、名前ね、柏木愛美って言うんだよ。」

簡単なあらすじ

彼の家の扉を開けると、そこには知らないピンヒールがあった。

そんな訳ないと自分に言い聞かせて部屋に上がったが……そこにいたのは上裸の彼と布団を被る知らない女だった。

「私」は頭が真っ白になり、たどたどしい歩きで台所に行き、包丁を手に取る……

全体の感想

彼の狂気を超える彼女の狂気。
 そして彼女の狂気を超える彼の狂気。
 螺旋階段のように最後まで狂い続ける2人は面白いがそれ以上に恐怖。

・ある意味彼はクズのままで居てくれた方が良かったのかもしれない。
 複雑骨折みたいな狂い方であった。

・彼女も狂ってはいるけど、後半を読むと段々可哀想な気もしてくる。
 自分の感覚がおかしくなっているのかもしれないが。

最後の一言、最初???となったがコメント欄をみて絶句。
 夜に読まなくてよかった……

『ものぐさ悪役令嬢は頑張らない』

『ものぐさ悪役令嬢は頑張らない』
著者枝豆-忘れもの創作隊
投稿年月日2019年4月2日

唯一我が家で『まとも』なスピカには幸せになってほしいと切実に思う。

例えそのために私が破滅したとしても。

簡単なあらすじ

スピカは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生していたことを唐突に思い出す。

しかしヒロインに何もしなければ何も起きないと考え、以前と変わらず過ごそうと考えていた。

一方そのヒロインである双子の妹・スピカも自分が転生したことを思い出していた。

姉の破滅を防ぐため、どの攻略対象者のルートにも入らないように気を付けていたが……

全体の感想

約8万字とpixivの中ではかなりの長編だが、展開がめまぐるしく変わるため一気読みできた。
 後味も良く余韻の残る終わり方なのも◎

「成長」がメインテーマなのかなと感じる。
 悪評を信じ切っていた登場人物が真実に気付き態度を改めたり、蓋をしていた自分の本当の気持ちと向き合って変わっていく姿が気持ちよかった。

・スピカは自分が抱いていた気持ちに対して反省していたが、姉を想う気持ちは本当だったんじゃないか?と言いたい。

『学校一のイケメンに告白されたけど、遊びだと思っていたら本気で好かれていた話』

『学校一のイケメンに告白されたけど、遊びだと思っていたら本気で好かれていた話』
著者マカロニパスタ
投稿年月日2021年8月31日

「私はあんたが幸せでいてくれるなら、それでいいからね」

簡単なあらすじ

ある日の放課後、校内で大人気のイケメン男子・青崎要に突然告白された里香。

自分のような地味な女を好きになるわけがないと思い、里香は要が嘘告白をしていると判断。

しかし断った場合のリスクを考え、あえて告白を受け入れることにしたのだが……

要の反応が思っていたのと大分違うような???

全体の感想

複数の視点で順番に語られる構成によって、徐々に背景が分かるようになっていて最後まで飽きさせない工夫を感じる作品。

ほのぼの勘違いストーリーではあるが、「そろそろ物語終わりそうなのにまだ何ページか残っている?」と疑問に思い始め……
 あるページを開いた瞬間に「うわぁぁぁぁぁ!!!」と叫んでしまった。

・お前イケメン過ぎんか?と思っていたがそういうことだったのか……。
 もう一度始めから読むとあまりにも切ない。

『王太子に婚約解消された従兄妹が復讐()をする気らしい』

『王太子に婚約解消された従兄妹が復讐()をする気らしい』
著者餡子
投稿年月日2023年12月7日

「ハイノ兄様……っ。私は絶対に、私を捨てたアロイス殿下達に、世にもおぞましい復讐をしてやりますわ!」

簡単なあらすじ

王太子アロイスに婚約を解消されたマルガレータは、従兄のハイノに泣きつきながら復讐を宣言する。

しかしマルガレータの性格をよく知っているハイノには、復讐の内容がだいたい想像がついていた。

そして翌日、復讐を実行しようとするマルガレータに同行してみると……

全体の感想

予想通りの微笑ましいストーリーと予想外のハッピーエンドで二重にほっこりできた作品。
 約6千字程度とは思えない満足度。

愛されて育った子って本当に(良い意味で)こんな行動しかとれないんだろうなぁ(にっこり)

・ハイノだけでなく登場人物全員が分かっている感じがマジで温かい世界。

プロセカ二次創作小説 5作品

大人気リズムゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』のキャラクターを使用した二次創作小説である。

ゲームとしては勿論のこと、ストーリーが本っっっっ当に面白い!

ビジュアルノベルとして普通に売れるのでは?と割と本気で思っている。

ちなみに私の推しは穂波である(特に奏と話している時が好き。)。

『仕事なんて聞いていません』

仕事なんて聞いていません
著者
投稿年月日2024年9月23日

簡単なあらすじ

今日は久々にニーゴの4人全員が休日!……のはずだったのに。

奏だけ仕事が入ってしまった。

しかも夜まで。聞いてない。

食卓は静まり返り……

全体の感想

まふゆさん!?依存度が爆上がりしてて笑った。

ご飯は何でもいいと言う理由が可愛すぎる。
 奏はすぐそういうこと言っちゃうから……

・いい子モードのまま相手を恐怖に陥れるまふゆさん。
 その技術分けてください。

『綺麗な花には毒がある』

綺麗な花には毒がある
著者
投稿年月日2024年10月7日

「またね、奏ちゃん」

簡単なあらすじ

マネージャーと待ち合わせするも、迷子になってしまった雫。

そこで声を掛け、助けてくれたのは銀髪の少女だった。

名前も名乗らず立ち去った彼女のことが気になり、雫はマネージャーに「ある事」をお願いする……

全体の感想

天然の裏に隠された計算高さ。その力を持って徐々に想い人へ近づいていく雫。
 この概念……悪くない。

続編でまふゆ(+ニーゴ)との対決が見てみたい。
 すぐに勝てると思ったニーゴ3人が、雫の予想外の行動にかき乱され……的な。

・どうあがいても奏は、深く愛されるしか選択肢がないのだ……

『逃避行』

『逃避行』
著者わんたん
投稿年月日2022年11月6日

「(なんでここにみんなが……っ、)」

簡単なあらすじ

SNSのチェックを済ませ、ボロマンションから高級ブランドに身を包み出ていった女――東雲絵名は、銀座のど真ん中にあるクラブの人気ナンバーワンホスト『ナナ』として働いていた。

ナナは出勤早々にママからの連絡を無視したことを怒られるが、それを意に介さず指定されたVIP席へと向かう。

しかしそこで待っていたのは……もっとも会いたくなかった、かつての仲間たちだった。

全体の感想

原作のストーリー、キャラクター、台詞を全て踏まえた細かい設定に舌を巻いてしまう作品。
 特に絵名以外の3人の職業は「あり得る!」と思わされる。

細かいミスを重ねる絵名、着実に絵名を追い詰める3人の駆け引きがワクワクポイント。
 勝敗が分かり切っていても楽しめる。

・登場人物の細かい仕草の描写が沢山あり、書籍レベルの丁寧な小説だと感じた。

『執行猶予十年』

『執行猶予十年』
著者ゆきだ
投稿年月日2022年7月1日

「じゃあね、絵名。十年前で、また」

簡単なあらすじ

変人ワンツーフフィニッシュ(のおそらく実験)によって放たれた謎の物体から彰人を庇った絵名は、気が付くと見知らぬ部屋にいた。

部屋を見回すと、そこには一人の人物――ニーゴの仲間・まふゆが居たが、絵名が知るまふゆとは少し違う姿。

ここにやってきた経緯を絵名が説明すると、何かを納得したまふゆから驚愕の事実を告げられて……

全体の感想

中盤まで読むと普通のほのぼのとした物語で「何でこんな物騒なタイトル何だろう??」と思ったが……。
 終盤で真相が明らかになり、完璧なタイトルだと納得。

・「なぜ絵名があんな状況に陥ったのか」「もし絵名が真相に気付いたら」など、その後が気になる作品。
 続編はありませんかぁ!!!

『Jail bride』

『Jail bride』
著者あんぬ
投稿年月日2024年6月30日

「それは絵名が望んだ事だよ。」

簡単なあらすじ

「「「絵名」」」

声質の違う3人に呼ばれて、絵名は迷いなく手を伸ばす。

しかし触れた指先はまるで氷のように冷たくて……

全体の感想

シンプルにキャラクターの解像度が高くて読み入る作品。
 不特定多数の誰かを救うのが奏なら、3人を救うのは絵名なんだろうな……。

・絵名の境遇に同情しつつも、3人視点でみたら暴走してしまうのも仕方ないのかなと思える。

何をされるか分からないことより、自分の気持ちが分からなくなるほど溺れていく方が怖いことなのかもしれない。

【おわりに】「疲れた。ストレスが限界。本1冊も読む気力がない。」ならpixiv小説の出番。あなたも助けてくれるから。

ただの無名の作家の小説サイトと侮ってはいけない。

本1冊より少ない文字数で、心に響く作品を書いている人がたくさん居るのだ。

だから、私と同じく「疲れてしまった」あなた。

1,000文字程度の短編でも良いから読んでみてくれ。

あなたが元気を取り戻せる文章に、いずれ出会えるから。

【「面白い」と感じてくれたあなたへ】
普段は私が使い倒している「Kindle Unlimited」「Audible」の中で面白かった本を紹介しています。(本記事はタイトル通り「番外編」です。

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